繭雑玉記

自分用日常の記録。

父の告白

わたしは生後1ヶ月の息子を抱え、半分引きこもりの生活をしていた。

母が手伝いに来てくれており、父は時々テレビ電話をわたしにかけ、孫の様子を見ていた。

父が、孫がかわいいのは知っていたので、「もっとうちに来てくれていいのに」とわたしは言ったのだが、父はあまりうちには来なかった。

7月も後半に差し掛かった頃。

息子が昼寝中などに、連絡してほしいと父が言っている、と母に伝えられた。

寝かしつけが下手だったわたしはその日、息子に昼寝をさせることができず、母に見てもらってテレビ電話をかけた。

父は自身の病と余命の話をした。

正直、ほとんど話の内容は頭に入らず、わたしは涙声で「うん」「はい」と相槌をうっていた。

「8月はこせないと思う」「遺される母のことは、当面は金銭面では心配しなくていい」この2つだけが頭に残ってぐるぐるまわった。

わたしは、わたしが息子を連れて実家に行くと伝えた。

夜、夫に話をした。一緒に泣いてくれた。

翌日もう一度電話がかかってきて「夫以外の他の人には言わないように」と念を押された。

父のことを知っているのは母、弟、わたし、わたしの夫だけで、自分の親兄弟にも言わないつもりらしい。

互いにどんな気持ちだろうか。