繭雑玉記

自分用日常の記録。

事前

ずっと前のこと

父がなんだかんだ病気持ちなことは知っていた。

それでもずっと元気に生きていたから、殺しても死なないのだと思っていた。

結婚することをどう言い出せばよいか迷っていた年末、父にがんの疑いがかけられた。

その話をされた翌日、わたしは仕事が手につかなかった。

結婚とかしている場合じゃなくて、子ども好きの父のために、むしろ妊娠しなきゃとか、わけのわからないことを考えていた。

妊娠の報告は、父が入院している病室でした。実家を出たわたしは、なぜそうなっているのかわからなかった。

勝手に、なにかまた生検で手術をして、問題ない結果が出るのだろうと思っていた。

孫が産まれるのだから、父は少なくともあと10年は健在だろうなどと考えていた。

入院の理由は私の勝手な考えとは違っていたのだが、断片的に聞いた情報で検索をかけ、検索結果の概要から、治るものなのだろうと勝手に判断した。怖くてそれぞれのページは見に行かなかった。

そのあたりですでに余命宣告されていたらしい。

父は、ぎりぎりまで私には言わないようにと口止めをしたそうだ。

確かにわたしの場合は、ストレスで正常な妊娠生活を送れなくなりそうだ。複雑だが、その時点での判断は正しかったと思う。